移動中の車内で携帯電話でパチリと撮ったような写真が、ジャケに使われています。そこに映るオメル・アヴィタルは、これから麻薬の取引に向かう筋者との雰囲気です。
そんな彼の2006年録音作品です。Jason Lindner(p, etc), Jonathan Blake(d, etc), Joel Frahm(ts,ss,etc), Avi Lebovich(tb). そしてAvishai Cohen(tp)との演奏です。リーダーのアヴィタルはベースの他に、オードも演奏しています。そしてメンバー全員が歌っています。
ブックレットを見れば、こっちをジャケに使うべきと思う写真が掲載されています。
安心して下さい、身に着けるもののセンスは駄目でも、アヴィタイの音楽のセンスとバンドをまとめる力は一流です。また全員が歌っているのは、あくまで効果的な物なので、これまた安心を。
誰もが持っている哀愁感に訴える曲、彼の代表曲である「Third World Love Story」や「Song For Amos」、そして「Vincent」などでは、曲と演奏の魅力に酔ってしまします。
それと共にアヴィタイの凄いところは、「Sea And Sand」のような何気ない曲でも、聴き所にしてしまうことでしょう。この曲では三管のアンサンブルを絶妙に作り上げています。
もう少しトランペットのアヴィシャイ・コーエンを目立たせればなどとの贅沢なことを思いながら、アヴィタイのベースの響きにも吸い込まれる作品です。