イスラエル出身のベース奏者 Omer Avital、カタカナ表記ではオマー・アヴィタルの作品です。この方はミンガスに例えられることが多いようで、現在のジャズ・シーンの中での重要人物です。先に取り上げたベースのアヴィシャイ・コーエンも高い評価のベース奏者ですので、私はこの二人をよく混同してしまいます。
ではWikipediaからオマー・アヴィタルに関する情報を紹介します。
1971年にテルアビブの左に位置するジバタイムで生まれた彼は、11歳の時からクラシック・ギターを学び、イスラエルを代表する芸術高校に入るとベースに転向し、ジャズと編曲を学びました。17歳の時からプロ活動を始め、イスラエル陸軍のオーケストラに1年所属した後の1992年にNYに移りました。
NYですぐに注目され、1995年と1996年にはサックス4本とドラム、それに彼のベースというグループでスモールズで演奏を行なっていました。今日取り上げる作品はそんな時のもので、Mark Turner(ts), Gregory Tardy(ts, fl), Myron Walden(as), Charles Owens(ts), そしてAli Jackson(d)との演奏です。
発売さたのは2006年とのことなので、彼の初リーダー作品とは言えないようです。
ジャケの写真、浜辺でオシッコをしている坊や、寝転びながらそれを笑って見ているお父さんらしき男性、どちらがオマーさんなのでしょうか。写真の古さ加減からすれば坊やなのでしょう。「勝手にするからね」とのタイトルは、この状況から得たものでしょうし、その気持ちをプロ・ミュージシャンになっても持ち続けたいとの願いも込められているのでしょう。
裏ジャケには痩せて髪が短く、眼光鋭い精悍な表情のオマーさんの写真があります。恐らくはこのライブの際の25歳の時のお姿なのでしょう。
さて演奏内容ですが、ホーン4本のアレンジがお見事で、また4本の泳がせ方も楽しく聴けるものです。そこにオマーさんの力強いベースのうねりが加わり、聴きごたえあるライブであったことが分かるものです。面ジャケの坊やの自由気ままな心と、青年になった裏ジャケにある真摯さが、演奏の中に交差して垣間見ることができます。
「ケンタッキー・ガール」という曲が15分近い演奏なのですが、オマーさんの人間の悩みを表現するかのベース、それを包み込む自然の雄大さのような四管の演奏、この曲を聴いているとオマーさんの存在感の強さを感じます。