コルトレーンのアトランティック第六弾として、1962年7月に規格番号1382として発売された本作品は、1960年10月24日に吹き込まれたものです。
弊サイトの「今日のコルトレーン 」では、1960年10月下旬のアトランティックのセッションから始まる、マッコイ・タイナー、スティーヴ・デイヴィス、そしてエルヴィン・ジョーンズとのカルテットを、第四期コルトレーン・カルテット(黄金へ一歩手前)と(勝手に)呼んでいます。
このカルテットで、21日、次に24日に午後と夜の2回、そして26日にわたり計21曲が演奏されました。このアルバムには、24日の演奏から計六曲が収録されています。
この三日間のセッションでは、このカルテットでの演奏を手探りしているもの、試しているものが含まれています。この作品にはそんな演奏が収録されており、このメンバーでのお手合わせの感が歪めないのですが、それぞれの演奏に聴くべき点もあるのも事実です。各曲については、「今日のコルトレーン 」をご参照を頂ければ幸いです。
曲名には工夫したアルバムです。A面の三つは曲名にBluesが付くもの、B面はMr.が付く三曲を配しています。しかしアルバムに配置されている曲の内容には、感心できるところがありません。アルバムの華となるものがない、そこがこの作品がコルトレーンの諸作に中で、目立たない決定的な理由です。
新しいカルテットの中で、マッコイのピアノとコルトレーンの演奏の繋がりが良くなっていく展開、そしてこのカルテットの中でエルヴィンの立ち位置を模索している模様があり、個々の曲にはそれなりの聴き所があります。
映画の中には、重要なシーンではないが、見終わってから考えれば必要な場面だったというのがあります。このセッションはコルトレーンの全体像を考えたときに、必要なセッションだったと言えるのでしょう。ただアルバムとして、作品として世に出すには、一工夫が必要だったと言えるのでしょう。