2020年11月3日掲載
John Coltrane             Coltrane's Sound
Atlantic原盤                 1960年10月録音

 コルトレーンのアトランティック第七弾の本作品は、規格番号1419として1964年6月に発売されました。

 1960年10月21日と24日、そして26日の三日間に、コルトレーンは新しいメンバーでのカルテット(第四期)でレコーディングを行い、計二十一曲を収録しました。その中から「マイ・フェイヴァリット・シングス」と「コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース」が、すでに発売されてました。レコーディングから四年経ち、残りから六曲が選ばれ、本作の発売となりました。

 マッコイ・タイナー、スティーヴ・デイヴィス、そしてエルヴィン・ジョーンズとの演奏の本作品の特徴は、その選曲面にあります。A面とB面の最初にスタンダードを配し、続く2曲がコルトレーンのオリジナルとの内容です。そのスタンダードですが、A面には「The Night Has A Thousand Eyes」、邦題が「夜は千の眼を持つ」、通称「ヨルセン」が収録されています。B面には「Body And Soul」です。この先品は一般的には「ヨルセン」が人気となっており、アルバム名も日本では「夜は千の眼を持つ」としていた時期があります。

20201103

 曲の持つ雰囲気からは随分とアグレッシブなアレンジのスタンダード二曲に続く、コルトレーン作の曲の演奏が素敵に響いています。A面が「Central Park West」、B面が「Equinox」、これはまさにアルバム構成の成功と言えるのでしょう。しかし首を傾げるのは、それに続く三曲目が、全体の流れにあっていません。ここの曲が云々ということではなく、あくまで構成なのですが、本当に残念な点です。しかしアルバムとしては、なかなかなものでしょう。

 このアルバムを不幸な存在にしているのは、発売時期です。1964年と言えば、インパルス!から「クレッセント」と「ライブ・アット・バードランド」が発売された年です。そこに1960年録音の本作品となると、埋もれてしまうのは致し方ないことです。

 1960年10月下旬の三日間のセッションから生まれた三作品、「マイ・フェイヴァリット・シングス」と「コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース」、そして本作品を、「コルトレーン・カルテットのアトランティック三部作」と呼ぶ向きがあるようです。もっとアルバム構成をに熟慮していれば、そんな呼び方も似合うのかなというのが、私の感想です。