お店でCDの背中を見ながら物色することを私の目が嫌がっていると感じながらのディスクユニオン関内店、アルファベットのOのコーナーで本作を見つけました。Omer AvitalのCDを物色中のことでしたが、目の嫌がりとは逆に私の脳は「OAM」に強く反応しました。 OAM trio の Trilingual を2000年暮れの新宿で購入し、2001年6月3日に「今日の1枚」で取り上げていたのでした。Omer Avital(b), Aaron Goldberg(p), Marc Miralta(d) の三人組の作品なのですが、私はピアノ奏者目当てで購入しました。「今日の1枚」での感想は、「強烈なベースが印象的であるが、全体的に散漫な内容」とのものでした。
この三人組は2002年に二枚目を発表し、テナーのマーク・タナーを加えて2003年にライブ盤を発表し、好評を得ていました。そこで今度はタナー入りでスタジオで、となったのが本作品です。そしてOAMとの出会いから20年経った私が、イスラエル出身ジャズマンをテーマにしての物色で、本作品に出会ったのでした。
オマーの芯が太いベースに堅実なミラルタのドラム、これを軸にフワフワしながらも要所で光るフレーズを注ぎ込むターナーのサックス、そして軽やかに雰囲気をうまく演出するピアノ、こんな思いで聴きますと、光る部分が多い作品でした。
私はアーロンのピアノに高い期待をしていた時期があり、私の好む演奏とのズレを感じて「今日の1枚」で厳しいコメントをすることがありました。もっと気軽な気持ちで彼のピアノを聴いていれば、20年前に取り上げた作品でのコメントも違うものになっていたことでしょう。
オマー作の「Faith」、そしてミラルタ作のタイトル曲で曲作りのうまさに感心し、あくまで4分の1の存在の中で自分のカラーを出していく4人のまとまりに聴き入りました。