2021年6月6日掲載
McCoy Tyner             Reaching Fourth
Impulse!原盤               1962年11月録音

 マッコイ・タイナーのインパルス!第二作目です。今回もトリオ編成で、ベースがヘンリー・グライムス、ドラムスがロイ・ヘインズです。

 ネット上のディスコグラフィーを見る限りですと、マッコイのヘンリー・グライムスとの共演は、本セッション以外に1966年のボストンのテレビ局への出演があるようですが、その音源は世に出ていません。またこの際のドラムスはジャック・ディジョネットです。マッコイとディジョネットは1970年代後半からたびたび共演していますが、初めての共演はこのテレビ出演のようです。

 マッコイとロイ・ヘインズの共演は、コルトレーン・バンドのは有名ですが、マッコイのリーダー・セッションでは本作だけの共演となるようです。

20210606

 ピアノ・トリオの良さを残しながら、はち切れるビート感覚で演奏した作品です。最初の曲は、まさに激しリズムでの演奏です。この「Reaching Fourth」はマッコイ作の曲ですから、これはこういうものかと思い、それに続く「Goodbye」でのスタンダードらしい演奏を引き立てる効果もあります。

 最後から二曲目のスタンダード「Old Devil Moon」も、打ちつけるようなビートでの演奏です。マッコイよ、と思いますが、これはこれで良い演奏です。個人的にはこのスタンダードのピアノ・トリオ部門での名演に入れたいものです。これに続くのは同じくスランダードの「Have You Met Miss Jones」です。これは冒頭と同様に、引き立て効果を「Old Devil Moon」に求めたのかと思いますが、なんと「Have You Met Miss Jones」でも激しく攻めた演奏で、しかもこれでアルバム終了です。

 これが若さの勢いかと思いながら、ここまでマッコイが激しくなったのはベースのヘンリー・グライムスの存在が大きのかなとも考えながら、本作を聴き終えました。

 マッコイとグライムスの共演盤をもう一枚、いやいや一回だかたこそ本作の価値があるのだ、こういうことを考えさせてくれるという意味でも良い作品です。