1940年生まれのギター奏者ソニー・シャーロックは、20歳になってからギターを演奏し始めたそうです。ファラオ・サンダースやサニー・マレイらとの共演していた1960年代のシャーロックですが、ハービー・マンのバンドに六年間在籍していたそうです。
1969年に製作されたシャーロックの初リーダー作品である本作は、ハービー・マンのプロデュースのもと、ハービー・マン主宰のレーベルから発売されました。
以上は国内廉価CDにある岡崎正通氏の解説からの引用ですが、さらにシャーロックのギター奏法について、「メロディックであることを拒否するかのような演奏スタイル。ノイズと見まがうような大胆な不協和音を連発」と述べております。流石に上手い表現をするもので、私が持っているシャーロックへの印象と同じでした。
デイヴ・バレル(p)、ノリス・ジョーンズ(b)、ミルフォード・グレイス(d)、そして奥様のリンダ・シャーロック(vo)がとの演奏で、曲により他のメンバーも加わっています。
解放されたい、草原を自由に走り回りたい、そんな想いが溢れんばかりのエネルギーで表現されている作品です。シャーロックのギターは時には津軽三味線のような切れ味も示し、全体の流れを作っています。そして本作の柱は、リンダさんのヴォイスでしょう。
女性歌手が高音を使って叫んでいく、これで私がイメージするのはオノ・ヨーコさん、そして横濱ジャズプロムナードで聴いた蜂谷真紀さんです。オノ・ヨーコさんのには政治的主張を、蜂谷真紀さんには独自感性の放出を感じます。この作品でのリンダさんを聴いていると、目の前に景色が浮かんでくるようで、前述のお二人と違って、私の中にすんなりと入ってくるものでした。
あまり接することがないタイプの作品、そして聴きごたえある作品に接してからジャケットを見ますと、リンダさんの表情が優しいながらも強い決意があるなと感じました。