2018年9月1日掲載
Rudolph Johnson       The Second Coming
Black Jazz原盤            1973年録音

 1970年代初頭の黒人ジャズ・レーベルとしてこのブラック・ジャズのほかに、ストラト・イーストとトライブの名前が上がります。この辺りの作品をいつか「今日の1枚」で取り上げることができればと、願っています。

 BJQD/11として発売された第11弾は、ルドルフ・ジョンソンの作品です。例の小冊子から本作を紹介します。

 まさに突進する重戦車!ブラック・ジャズが誇るパワー・テナーの雄、ルドルフ・ジョンソンの最高傑作にしてブラック・ジャズのカタログ随一の血管ブチ切れを味わえる野獣の如き一枚。冒頭のモーダル・ワルツ「The Traveller」からリミッターが外れたかのような怒涛のコルトレーン・フレーズの嵐が巻き起こる。ステレオが壊れるかと思うほどの音圧はまさに暴力的な、と表現するほか無いだろう。ハイライトでもあるラスト「The Second Coming」はジョンソン流「至上の愛」とも言える最狂の演奏が繰り広げられる。魂を絞り出すようなブロウには本当に目頭が熱くなる。

 ブラック・ジャズ第4弾に続くルドルフ・ジョンソンの2作目であります。ジャケに移るジョンソンは何故かフルートを持ち、インドの雰囲気で写っています。

20180901

 爽やかなソウル・ジャズ、誠実であろうルドルフの人柄が滲み出ている一枚です。ルドルフ作の「The Highest Pleasure」が、本作品の白眉でしょう。小冊子の書き方で言うならば「ファンク・ビートに乗って」とのことなのでしょうが、ここでは素直に「人生の最高の喜び」を歌い上げています。カーク・ライトシーのピアノも、そんなルドルフに寄り添った良い演奏です。ブルースの上手い表現者なのですが、この後の活動は知られていません。それはこの時代に生き残れなかったのか、それとも自分の信じる道を求めて行動して行き、それが我々が出会えるものではなかったのか。後者だと思いながら、テナー・サックスの素敵なワン・ホーン作品として私はこの作品を大事にして行きます。