2018年9月2日掲載
Kellee Patterson        Maiden Voyage
Black Jazz原盤            1973年録音

 このブラック・ジャズ箱には、ポスターが同梱されています。上質なクラフト紙に、横に4枚、縦に5枚、計20枚全てのジャケットを印刷したものです。紙ジャケよりも一回り小さいのですが、20枚となるとそれなりに迫力があります。黒に白地に対して、このポスターだとクラフト紙の茶色に黒となり、違った存在感が出ています。私はこのポスターが気に入っています。

 BJQD/12として発売された第12弾は、ケリー・パターソンの作品です。例の小冊子から本作を紹介します。

 ブラック・ジャズを代表する名盤として、もはや何の説明も不要であろう一枚。黒人女性として初めてミス・インディアナに選ばれ、71年のミス・アメリカ候補にもなったという才色兼備のシンガー、ケリー・パターソンのデビュー・アルバム。タイトル・トラックであるハービー・ハンコックの「処女航海」を初めとする全8曲、その全てが瑞々しく、奇跡的な光を宿した傑作である。中でもクラブ・ジャズ・クラシックスとして名高い「Magic Wand Of Love」、たった3分間の中でドラマが始まり、終わるような豊穣で幸福な体験、こんな喜びを与えてくれる曲が他にあるだろうか。

 この後に2枚の作品を残して音楽シーンからは退いたような彼女の作品を、今日は聴いて見ます。

20180902

 体が包まれるような可愛い声、確かな歌唱力、特に低音部と高音部でみせる声の艶はなかなかのものです。

 ジャズ作品なのか、ポピュラー作品なのかとのお話は、女性ヴォーカル作品では良くあるお話ですが、この作品は良質なポップ作品。青空とさざ波の海を眺めながら、恋と人生の喜びを感じ、また辛さに涙を見せる大人になる一歩手前の女性の姿を感じる作品です。