この箱モノを購入した時は、2度目のマレーシア駐在の時でした。だだっ広いリヴィングで、束の間用に購入したKEFのスピーカーとフランス製のCDレシーバーで、この箱モノを聴いていました。20枚を一通り聴いて、このレーベルの特徴に感じ入りながらも、2度目に聴くことはなかったと記憶しています。ペナン島のアパートメントで聴くには似合わない内容だったのかなと無理あることを考えながらも、29,800円には後悔はしませんでした。
BJ/4として発売された第4弾は、ルドルフ・ジョンソンの作品です。例の小冊子から本作を紹介します。
黒く骨太のサウンドが魅力のテナー・サックス・プレイヤー、ルドルフ・ジョンソン。彼もまたコルトレーン・チャイルドと呼ぶべきスタイルを武器にした一人である。初リーダー作となったこのアルバムでは、ワンホーン・カルテットというゆとりあるフォーマットの中、多彩なオリジナル・ナンバーを披露している。冒頭の「Silvia Ann」を筆頭とするストレート・アヘッドなモード・ジャズから、モーダルなジャズ・ボサ、そしてジョンソンのパワーが炸裂する「Diswa」「Devon Jean」といったジャズ・ファンクまで、サウンドに応じて表情を変えるジョンソンのテナーが野生的な魅力を発揮する好アルバム。
1942年生まれのジョンソンは、1960年代はジミー・マグリフなどのオルガン奏者のもとで演奏を行っていたとのことです。そんな中でブラック・ジャズを主催するジーン・ラッセルの目に留まり、本作が生まれたのです。
若い時に、ジャズ聴き始めの時の本作に接していたならば、「もっと攻めてこいよ」と感じたことでしょう。そんなであろう時から数十年経った今では、この「小物ぶり」に堪らなく愛着を覚えます。
初リーダー作となると、「大物ぶり」を発揮したくなり「ぶりっ子」で終わるミュージシャンが多い中で、ジョンソンは等身大の自分を本作に叩き込んでいます。
その内容は確かに先に引用した小冊子通りですが、それに肩肘貼らずに向かっているジョンソンに惚れながら聴き通しました。