私は今から5年前に、時間に余裕のある三ヶ月間を過ごしました。住宅ローンだけ払い続けていたみなとみらいの部屋で落ち着いて過ごした三ヶ月間は、今に至る私の生き方に重要な日々でした。そんな三ヶ月間に、このブラック・ジャズ箱を聴いておりました。私にとっては未知の作品20枚が素敵に輝いて聴こえた思い出があり、その4年前にペナン島で聴いた時の感想とは違うなと感じていたのでした。
BJ/5として発売された第5弾は、カルヴィン・キイズの作品です。例の小冊子から本作を紹介します。
咆哮する黒いギタリズム。野太く強靭なトーンを持ったギタリスト、カルヴィン・キイズのデビュー・アルバムには獰猛なまでの若き魂が封じ込められている。冒頭を飾るジャズ・ファンク「B.E.」のサイケデリックな疾走感、ハードドライヴィングなアップテンポ・ナンバー「Criss Cross」でみせるスウィンギーなプレイ、スピーディなブギ・ビートに乗った「Gee-Gee」のクールネス、ワルツ「Shawn-Neeq」のピースフルさ、そして極め付けはラストのアシッド・ファンク「B.K.」。9分以上にわたってアグレッシブに弾き倒すキイズのギターが狂気さえ帯びはじめる熱演。
1942年生まれのキイズは、1960年代終盤からドナルド・バードやジミー・スミス、そしてアーマッド・ジャマルなどと共演していたそうです。フルートを加えてのクインテット作品を聴いてみます。
小冊子に書かれている演奏要素は全て当てはまるのですが、この作品は音の疾走感であります。そしてそれは、さっぱりとしており、汗臭さは感じさせないもの。実に清々しく、この時代の特徴をそのまま表した、よ言われる表現ならばジャズロックが展開されています。
昭和歌謡、昭和青春ドラマの香りプンプンの「Gee-Gee」を聴いていると、不良の雰囲気に憧れながらも、実は気の弱い片思い男の絵が浮かんでくるようです。
「B.K.」では、青春を燃焼させているようなギター演奏が展開されています。
カルヴィン・キイズの疾走感、なかなかのものです。