この「今日の1枚」ではお馴染みの女性歌手イーデン・アトウッドが、シナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパンから発売した作品を、今日は取り上げます。
彼女のキャリアを振り返ると、二つの時期に大別できます。最初のものは、コンコードから作品を発表していた1990年台前半のものです。そんな時代の作品を、「今日の1枚」では1作品紹介しました。
その後に彼女は5年ほどのブランクを挟んで、再度作品を発表し始めました。そんな時期の作品は「今日の1枚」で3枚取り上げてきました。この時期の彼女は日本でも結構評判になったのです。
しかし、そんな二つ目の時期も、2000年半ばまでのものでありました。
話をシナトラ・ソサエティ・オブ・ジャパン(SSJ)に移します。この組織が埋もれたヴォーカル作品を次々と掘り出している姿は、このコーナーでも少しは触れてきました。そんな活動の中で、ついにSSJは自ら作品を制作することになったのです。そして白羽の矢を立てたのは、イーデンさんでありました。
そんな本盤はイーデンさんの第三の時期と言えるもので、コンボをバックにしたスタンダード集です。
本格派歌手の力作を頭にイメージして、作品作りされている印象を受けました。確かに歌唱力は高い彼女なのですが、この作品には彼女の焦りがあるように感じます。否定的な見方になっていますが、彼女には少し力を抜いて、そして華を加えた作品にして欲しかったです。
この作品を制作した数日間のセッションから、もう一枚発売されているそうです。しかしそれ以降は、彼女の活動が見当たりません。彼女はもともと体調に不安があるようなので、ひょっとしたらこの作品が歌手としての最後の力を注いだ作品なのかもしれません。