2008年7月25日掲載
Dexter Gordon         nights at the keystone Vol.1
Blue Note原盤           1978年9月録音

 3集,2集と逆順番に取り上げてきました。今日は1集を取り上げます。スタンダード・バラッドの『easy living』、そしてゴードン作の『antabus』が気になります。因みに antabus をネットで調べたところ、デンマークで開発された鎮痛剤のような薬とのこと。アル中の治療に用いられることがあるとか。デクスターがこの曲を録音したのは、本作品だけであります。

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 『easy living』の邦訳に『気ままな暮らし』というのがあったらしいが、ペギー・リーなどが愛情をこめて歌った歌詞は、一途に相手を思うことから生まれる迷いの無さを表現したものとのこと。ゴードンの骨太テナーでの演奏は、まさに迷いなさの心境であります。このバラッドを17分間演奏するのは、いくらライブとは言え、ゴードンの存在感の賜物なのでしょう。そしてベースの骨太さもなかなかのもの。

 この曲の前に演奏されている『antabus』では、何かに焦っている様子が、ゴードンの演奏から伺える7分間でした。さらには1曲目に演奏されたゴードン十八番のスタンダード『it's you or no one』も、聴き所満載のもの。

 3集に分けられたこのライブは、ゴードンのファンならずも、聴く価値があるものです。