ブルー・ノートからの「コネクション」は、既に取上げていたと思っていました。しかし、フレディ・レッドの掲載済み作品は、中途半端な形でLPになっているプレスティッジ盤だけのようです。
ここで少しだけ、彼の経歴を。1928年NY生まれのレッドは、18歳からピアノを始めました。兵役後プロ入りし、オスカー・ぺティフォード,コールマン・ホーキンス等々と演奏。1956年にはロルフ・エリクソンと欧州ツアー。1959年7月からブロードウェイで上演された「コネクション」の音楽を担当し、劇にも出演し一躍有名になりました。1970年代初めは欧州で活動し、1974年にはアメリカに戻って活動しておりました。
今日取上げる作品はレッドにとって6年ぶりになる吹込みの、ピアノ・トリオ作品です。
ジャズを聴き始めた時に「コネクション」が国内発売されました。購入店にはジャズ愛好家が集まっていて、この「コネクション」について語っておりました。その時の印象から、謎めいたピアニストと思っていました。
去年評判になった「幻のCD本」の中にフレディ・レッドの1988年録音盤が掲載されております。このCDは発売当時に渋谷ジャロで購入したのですが、どのような内容だったかが思い出せずにおります。取り出して聴きたいところですが、なかなか整理が追いつかず。1時間ほどかければ発見できるのですが、そこまでの気力なし。現在このコーナーで行っている「CD収納箱をひっくり返して」シリーズでピアノ編を取上げる時に、聴くことになるでしょう。早くても、2007年後半でしょうか。
さて、本作品。謎めいた印象などは僕の思い込みであって、実際は流暢な語り口のピアニストであります。黒人フィーリングもあり、またタッチの力強さも重なって、僕好みの作品に仕上がっております。やはり1曲目に収録されているレッド作のタイトル曲が白眉でしょうか。ベースの強さと軽やかさの効果も加わって、喋り捲っているようなレッドの演奏です。 その「喋り」がしつこ過ぎるように感じる場面があり、それが何度も表れているのが、「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」でした。ただし、このくどさは、人によって印象が違うことでしょう。
さて最後に、好演奏を行っている、ベースのヘンリー・フランクリンについて、少し触れておきましょう。1940年LA生まれの彼の父親は、トランペット奏者とのこと。LA市立大学で音楽を学んだ後に、シェリー・マン,ボビー・ハッチャーソン,ハンプトン・ホーズなどと共演。1975年から1976年にかけては、フレディ・ハバードのグループで演奏。そんな活動を経て、1977年にこの作品に参加したのでした。ネットで調べたところ、最近になってヘンリー・フランクリンが1970年代に残した作品が、何枚もCD化されております。何でもラテン・スピリチュアル系の演奏で有名だったとか。機会あれば、購入したいものです。