2006年5月6日掲載
Mike Allen     Love One Another
Almus原盤     2005年7月録音

 普通なら、このテナー・サックス奏者の作品は購入しなかったでしょう。ジャケットからの印象からすれば、ゲッツ風を気取っている無名ミュージュシャンという感じです。しかし、今となっては忘れかけておりますが、何かの閃きが今年2月の購入時点であったのでしょう。またピアノにBruno Hubertが参加していることも、購入を促した要因なのでしょう。

 さて、ネットでマイクさんについて調べました。年齢は40歳過ぎで、カナダを中心に活躍しているお方。マルチ・リード奏者ですが、テナー・サックスに力を入れているようです。1990年代半ばからリーダー作品を発表しており、この作品で7枚目になります。全8曲自作で揃えており、テナー・サックスに専念しての吹き込み。他のメンバーは、Sean Cronin(b),Julian MacDonough(d) であります。

20060506

 落ち着いたテナー・サックス奏者によるワン・ホーン・クァルテット作品として、それなりに需要がある作品なおでしょう。そつがない作りであり、寛げるメロディが売り物なのでしょう。でもね、ジャズとしての面白みがないのです。何か、自分を押し殺しているような、演奏です。時折り顔をのぞかせるコルトレーンの影響と思われる音色が、もっと顔を出せば、万人受け狙いの演奏とは違ったイメージを得られたかも。バックもそつなくこなす演奏に終始しているのも残念。

 何か仕掛けがいろいろあった上であったならば、最後に用意されているタイトル曲での寛ぎ感が、心に響いたかも。