『Things Are Getting Better』を吹き込んだ時には、アダレイはまだマイルスのグループにおりました。1959年9月にマイルスのもとを辞して、アダレイは再び自己のクィンテットを結成したのです。弟のナット(cor),ボビー・ティモンズ(p),サム・ジョーンズ(b),そしてルイ・ヘイズ(d)というメンバーです。そしてその1作目が、今日取上げる作品です。リバーサイドで、初めて爆発的に売れた作品であります。
良質のハード・バップ作品ですよね。キャノンボールはマイルスの元で様々なことを学んだのでしょう。その一つが、バンドとしての音楽の提示の仕方。個人プレーだけではなく、チーム・プレーの重要性を学んだのでしょう。例えば、『ハイ・フライ』での演奏。勿論、アダレイ兄弟やティモンズの好演が光っております。しかし、聴き所は全体でのフィーリングでしょう。熱さもアダレイの武器なのでしょうが、盛り上げるだけの熱さとは違って、聴かせる熱さであります。この時期のアダレイが光っていた理由は、ここなのでしょう。