2006年4月24日掲載
Hans Koller       Wild Roses
33Jazz原盤      2004年8月録音

 渋谷ジャロの中古コーナーでこれを手にした時には、あのハンス・コラーの最新作かと思い、何も考えずに購入したのでした。しかし今こうして香港に持ち帰って、中身を確認してみれば、完全な別人。あちらはテナー・サックス奏者で80歳台半ばのお方。こちらは見た目30歳台でピアニスト。まぁ、買ってしまったからには聴いてみましょう。

 Dave Whitford(b)とGene Galderazzo(d)と演奏している作品です。

20060424

 もしポール・モチアンがピアノ奏者だったならば、この作品で聴けるハンス・コラーのようなピアノ演奏を行うのではと感じました。

 とにかくリズミカル、そしてノリが心地良い。モンク,ミンガス,そしてハービー・ニコルスの曲を2づつ取上げています。その6曲とも、作者が提示した曲想を壊すことなく、コラーの色付けを施した演奏にしています。その色とは、リズムの強弱と間、そしてその連続によるスイング感からくるものです。

 冒頭の言葉は、コラーのこのような演奏を聴いている時に、ふと浮かんだものです。きっと、モチアンが望んでいるピアニストは、コラーのようなピアニストなのでしょう。僕がプロデューサーならば、すぐこの組合せで録音を行います。そんな楽しい妄想をも提示してくれた、素敵な作品です。