マルチ・リード奏者ジェイムス・カーターが25歳の時に吹き込んだ、2枚目のリーダー作品を取上げます。恐竜映画を思い起こすタイトルですが、内容もタイトルに沿ったもので、ジャズ・マン作の名曲を吹き込んでおります。パワフルなカーターのやんちゃな時代の演奏ですから、エリントンの『A列車で行こう』やモンクの『エピストロフィー』をどのように演奏しているかが、非常に楽しみであります。クァルテットでの録音です。
若さの勢いというのは気持ちが良いもので、ここでのカーターは思うがままの快走振りをみせております。『A列車で行こう』や『エピストロフィー』は勿論のこと、『アスク・ミー・ナウ』のようなスロー・テンポでも、体当たりの演奏を行っています。しかし『イクィノックス』では、作者のコルトレーンもモノにするまでに苦労した曲だけあって、若さだけでは太刀打ち行かないものでした。
この手の若さの勢い作品は、そのミュージュシャンのその後の活躍次第で、存在価値が変わってくるものです。その意味では、昨年発売された2004年録音の「Out Of Nowhere」が好評だったカーターなだけに、この作品の存在意義はいつの日か評価されることでしょう。残念ながら、今では全く語られることが無い作品なのです。