アーチー・シェップがヴィーナス・レーベルに吹き込んだ2枚目の作品であります。1枚目の「ブルー・バラッド」とこの「トゥルー・バラッド」は、買う気でいながら買い逃していたものです。今振り返れば、仕事で干されていた時期のこと。それから10年も経っていないのに、やたら懐かしい記憶であります。
昨年の梅雨の時期の新宿ユニオン中古フロアにて、紙Wジャケで新古扱いで入手しました。いろんな演奏経験を積んできたシェップが放つ、心に染み入るテナー・サックスのバラッド集との評判だった記憶があります。ヒックス,ムラーツ,そしてアイドリス・ムハマッドとの演奏です。
肺活量が極端に減って途切れ途切れで息を出し、オマケに入れ歯から空気が漏れ出し、何とも切ない演奏になっております。演奏から悲しさが出るのではなく、シェップの状況から悲しさを感じる内容。バックがこの「悲しみ」を捉えて、悲しさが出る演奏をしているのが、救いと言える内容。この作品のどこが評価されていたのかが、不思議でならない。あの梅雨の日に新宿ユニオンにさえ寄らなければと、後悔しております。