女性歌手キャロル・スローンが日本で知られるようになったのは、1975年秋に彼女にとっての2枚目の作品「 Live At 30th Street」が国内発売されたことによるものでした。さらに翌年の1976年春頃に、彼女が1975年11月に自主制作した「 Subway Tokens」が、輸入盤として日本に登場したことも、彼女の人気を高める要因となったのです。
そうするとファンの間では、当然の如く、彼女のデビュー作品「Out Of The Blue」の発売を望むようになったのです。発売すれば好調な売れ行きになるのが分かっているのに、発売される気配はありませんでした。マスター・テープ消失で発売不可能なのだというのがファンの間で定説になって結構な時間が経過した1980年代後半に、突如CDとして発売されたのでした。以上は、山口裕滋氏の解説からの引用です。
僕はそんなにも皆が待ち望んでいた作品とは全く知らずに、買ったのでした。丁度1980年代後半が、女性ヴォーカルに興味を持った時期と重なっていたのが、幸運だったのです。
窓の外には、日が暮れてばかりで、霧が掛かっている香港島が、薄っすらと浮かんでおります。HITACHI/SIEMENSのネオンも、いつもより明るさが落ちて見え、霧の中で幻想的な雰囲気。
この状況は、キャロルさんが歌っている『deep purple』の雰囲気そのまま。キャロルさんの歌は、不思議な魅力を持って、ロマンチックに響いています。こここそが彼女の魅力なのでしょうか。それとも、窓からの景色に合わさった、今夜だけの魅力なのでしょうか。
購入してから20年近く経ち、異国の地で心地よさを与えてくれた作品です。