このコーナーで始めて取り上げるキャロル・スローンさんについて、簡単にその経歴を書きます。1937年生まれの彼女は、14歳で地元のダンス・バンドで歌い始め、歌手としてスタート。1955年に18歳で結婚し、歌手活動を中断させたが、1958年に離婚し、再び歌手活動を始めました。1960年から1961年にかけてジャズ祭に出演し注目を集め、CBSコロンビアにスカウトされたのです。これから1969年までNYを中心に活動しており、この時が彼女が最も輝いていた時期と言えそうです。
その後、思うところあってノースカロライナに移り、地道な活動を送るようになったのです。この作品は、そんな地道時代のものであります。このタイトルの由来は、彼女が歌っていたノースカロライナの2つのお店が地下鉄で結ばれていることからのものだそうです。当然この作品は、その2つの店でのライブということになります。ピアノ・トリオをバックにしています。
彼女の代表作は、1960年代のCBS時代のものですが、そちらはまた機会をみて紹介しますね。
ハスキーで透明感があり、適度な色気に円熟味が加わりだした彼女の歌声は、実に魅力的。また、彼女の我が家のような店でのライブであり、リラックスした内容です。しかし、ベスト・テイクを選び出しただけあって、入魂の歌が聴けます。そして、彼女がこの地でいかにファンから愛されていたかが伝わってきており、ライブの良さが十分発揮された内容と言えます。
ミドル・テンポが多いのですが、数少ないスロー・ナンバーの「a cottage for sale」で、直線的に込められた情感はお見事。また「when my suger walk down the street」のような、数多いスタンダードの中で目立つ存在ではないが、味のある曲も紹介されております。
難点は自主製作盤ということでの録音自体の悪さが、あげられるでしょうか。僕の実家に14年間眠っていたこの盤ですが、購入当時は録音状態から判断してしまったのでしょう。
さて、webページでこの盤への評価を眺めたところ、あまり良くない記述が目立ちます。リラックスした雰囲気、言い換えれば家庭的な雰囲気が原因でしょうかね。それとここで掲載したジャケットは、オリジナルとは違うようです。