2006年2月27日掲載
Mac Chrupcala      Blue Moon
Seaside原盤           1992年6月録音

 この方の1995年の録音盤を以前ここで取上げました。「軽妙で絶妙なタッチから流れるメロディが気持ちよい」と、感想を書きました。その彼が、その3年前に吹き込んだ作品を、今日取上げます。「幻の 廃/レア盤」人気に乗って、デッド・ストック状態から一転して人気盤になったものです。1995年と同様のメンバーでの、ピアノ・トリオ作品です。

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 『ブルー・ムーン』という曲は、もともと映画「メイク・ミー・ア・スター」のために書かれた曲であり、その時は『ザ・プレイヤー』という曲名でした。しかし急遽この映画が制作中止になったため、翌年の映画「マンハッタン・メロドラマ」という別の映画で使われたのでした。因みにこの時の曲名は『ザ・バット・イン・エブリマン』でしたが、映画の中ではテーマのさわりを少し歌われたものだったのです。

 こんな可哀相な曲なのですが、ある音楽出版社の社長が光をあてたのです。歌詞を書き直して生まれたのが『ブルー・ムーン』。ビリー・ホリデイやジュリー・ロンドンなどの、多くの女性歌手から支持を集めるスタンダードになったのです。

 以上は「20世紀ジャズ名曲大事典」からの引用ですが、なにかこの作品「ブルー・ムーン」にも、曲『ブルー・ムーン』程ではないですが、世に出てくる過程でのドラマを感じます。

 さて本題。本当によくメロディを聴かせる作品です。その意味では、やはり1曲目に収録されている『ブルー・ムーン』が白眉でしょう。ベースの頑張りもなかなかのものですが、時にはでしゃばり過ぎになってしまうのが、残念な点です。Mac Chrupcala という人は、ここで取上げた2枚しか作品がないのでしょうか。「幻の 廃/レア盤」人気で、どこかのレコード会社が引っ張り出しそうな予感が致します。