マーシャル・ソラールは、言わずと知れたフランスが誇る世界的ジャズ・ピアニストであります。このコーナーではデビュー直後の1954年録音盤と、1990年代後半の2作品をここで紹介しました。
今日取上げる作品は、1960年代のもの。その内容は、ジャケットを見れば一目瞭然でしょう。ニューポート・ジャズ祭でのライブ盤であり、ソラールのアメリカ初録音なのです。テディ・コック(b)とポール・モチアン(d)とのトリオ作品です。
なお、このレコーディングは、スタジオ録音に拍手を被せたものとの説があるようです。それは、あの有名なブリニンクスのディスコグラフィに書かれていることだそうです。
長年に渡る豊富なキャリアのソラールについては、計4枚しか持っていない人間がその特徴をコメント出来るものではないので、この盤におけるソラールの特徴ということで読んで頂きたい。
様々な個性の曲を取り上げながらも、その曲毎の個性に強く流された演奏をせずに、ソラール自身の個性と曲の個性を合わせて演奏を盛り上げていくのが、彼の演奏の特徴であり魅力であろう。ジャズ・ミュージュシャンとしては当たり前の特徴という見方もあるであろうが、これが出来るミュージュシャンが一流の仲間入りが出来るのである。
ではソラールの個性とは何かと言えば、明暗が微妙に交差していく洒落たセンスであろう。『poinciana』『stella by starlight』そして『round about midnight』といった個性の強い曲を、上述のような演奏で聴かせてくれている。僕のコレクションの中に、またピアノ・トリオの名演奏が1枚加わったことになる。真のライブか拍手被せかは、どうでもよい気分になった。