ベースにマーク・ジョンソン、ドラムにポール・モチアンが参加したピアノ・トリオ・アルバムです。昨日紹介したアルバム以降ソラールは様様な活動をしてきたのですが、1970年代のリー・コニッツとの競演やビッグ・バンドでの活躍が特筆されるものだそうです。でも僕はその演奏を耳にしたことがなく、昨日と今日紹介するアルバムの45年の時間差をどー感じるかが非常に楽しみです。先月イタリアで発売されたみたいなのですが、70歳過ぎの録音なので不安もありますが。
45年の前の特徴の高音をコロコロ転がす特徴は今もって続いています。それが断続的な弾き方になり、それがメロディをドンドン分解していきます。瞬間瞬間は流れている感じはしますが、全体を通すとアルバムに見事な流れを作っています。奥の深いソラールの洞察眼に、聞く者は圧倒されてしまいます。“night & day”“softly as in a morning sunrise”“the lady is a tramp”などのスタ ンダードが多く収録されていますが、彼の曲の捉え方によって他の誰の演奏とは違う、独自のものになっています。どの曲を演奏するということではなく、彼はこのアルバムのコンセ プトに合う曲を選んで行ったのでしょうね。そのコンセプトが、例えばこのアルバムのジャケットだとしたら、個々の曲はそこで使われている色の1つなのでしょう。この二日間で、45年前と今の演奏を紹介した訳ですが、この45年間の彼の演奏経歴を聴いてみたくなりました。各時代でどのような演奏スタイルだったのか。数多いる中のピニストから、このように独自の世界を作っていく過程、それを追うことでジャズの一つの歴史が分かることでしょうね。