2005年2月28日掲載
Antonio Farao       Far Out
CamJazz原盤       2002年10月録音

 ピアニストのアントニオ・ファラオに対する僕のイメージは、バラバラのものです。1998年録音のトリオ盤では陰気なイメージでした。好みに合う陰気さではなかったため、世での人気は高まっていく中で、僕は彼を無視しておりました。

 ところがニコラ・ミンゴ(g)の作品にファラオが入っていたのですが、そこでの印象は「熱気の中に冷静さを兼ね備えたピアノ」というものに変わっておりました。

 で、ファラオの作品を購入。事故で亡くなる直前のボブ・バーグ(ts)が参加しているクァルテット編成。ファラオのオリジナル中心の内容です。

20050228

 ボブ・バーグの演奏のストレートな演奏に聴き惚れてしまうのが、第一印象。次に、ファラオの粒立つリズムと、決して派手にはしないが豊かなフレーズが、印象に残る作品。ミドル・テンポのマイナー曲『andalusia』が最も印象深かったですが、陽気な曲でも個性が発揮された内容になってます。

 しかし、1枚続けて聴くと、だらけた部分もある。これは聴く方の問題なのかもしれないが、アルバム構成をもう少し工夫してあれば、もっと素晴らしい作品になったでしょう。

 今度は最近のピアノ・トリオのファラオを聴いてみたいと思ったのと同時に、ボブ・バーグのリーダー作を1枚買ってみたくなりました。