2004年11月9日掲載
Nicola Mingo       Guitar Power
Philology原盤         2003年7月録音

 ニコラ・ミンゴは1963年イタリア生まれのギタリストであります。1990年代前半からレコーディング活動を開始したようであり、日本においてもギター・ファンの間では、高い評価があるそうです。

 バックでは、アントニオ・ファラオ(p)の参加が、目を惹く点です。ニコラがレッド・レコードに2000年に吹き込んだ作品にも、ファラオは参加していたようなので、気心は知れているのでしょう。ファラオと言えば、1998年録音盤を取り上げたことがありますが、その際には陰気な演奏の印象しかなかったです。その後のファラオの人気は日本でも高いものがありますが、この1998年録音盤の印象が強すぎて、その後のファラオさんは無視しておりました。そのファラオと息が合っているニコラだとしたら、僕の好みに合う存在のギターとは言えませんね。兎に角、聴いてみましょう。

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 兎に角、ウエス。徹底的にウエス。これは、この作品を聴いた誰もが、同じ意見だろう。

 そして、ファラオは熱気のピアノで、ニコラに合わせていく。そこには、ファラオの1998年録音盤で僕が感じた印象は残っていない。しかし聴き進めると、熱気の中に冷静さを兼ね備えたピアノだとの印象に変わってくる。ファラオのピアノ・トリオ作品は数多く誕生し続けているので、久し振りに買ってみることにしよう。

 話をニコラに戻すと、やはりウエスなのだ。現代のウエスがどのような演奏を続けるかが、今後の楽しみと言えよう。後半のピアノ抜きの演奏も面白かっただけに、ジャズ・ギター界の楽しみな存在である。