2005年2月27日掲載
Ralph Reichert        Reflections
Nagel Heyer原盤      2002年3月録音

 ラルフ・レイチャートはテナー・サックス奏者であり、トランペット奏者のランディ・サンクをゲストに迎えての、ハンブルグでのライブ盤です。もう少し書こうとおもってネットで調べましたが、大した情報を得られませんでした。

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 「現代風ハード・バップ」という表現を、僕はこのコーナーで時折り使います。その意味は何かと言えば、スタイルとしては黄金時代のハード・バップなのだが、そこでの熱気の立ち込め方が違うというものなのです。これを読んでお分かり頂けたかと思いますが、要は「現代風ハード・バップ」という言葉で何を言いたいのか、実にアヤフヤなのです。

 このラルフ・レイチャートを聴くと、どうしても「現代風ハード・バップ」という表現を使いたくなる。どジャズを演っているのだ。ストレートに気持ちよくやっているのだ。しかしながら、黄金時代の演奏で感じられる熱気とは違うのです。黄金時代がポマードべっとりの髪型なら、こちらは頭を揺するとサラッと髪がなびくような感じなのです。

 スタンダードが8曲並んでおりますが、速いテンポで演奏している『just in time』と、マイナー曲の哀愁が素敵だった『bernie's tune』が白眉かな。その中で気になる点があるのですが、テーマもソロも先発はゲストのトランペット。トランペットのリーダー作品だと言っても、信用する内容です。ランディ・サンクというのは、そんな気を使うような大物ではないのですがね。

 しかし良い演奏。精一杯ツッパッてみても気弱さが見え隠れするトランペットと、艶のある音色だし勢いがあるサックスの対比も、面白い内容です。ネット上での取り上げられ方がそんなに多い作品ではないのですが、注目すべき内容です。