2005年2月22日掲載
Lars Moller     Jazzpar Concerts 2003
Stunt原盤        2003年4月録音

 ラース・メラーはデンマークのテナー・サックス奏者です。彼のサイトを覗いたのですが、見易いものではなく、ただ結構の枚数を吹き込んでいることが分かりました。年齢は39歳とのことです。

 さて、この作品はジャズパー賞受賞記念コンサートを収録したもの。マレイラヴァの受賞盤を過去に取上げておりますので、これで3枚目ということになります。なおこの賞には2種類あるのです。「Jazzpar Prize Winners」と「Danish Jazzpar Combo Leaders」であり、マレイとラヴァは前者で、このメラーは後者になります。

 栄誉ある賞を手にしたメラーは、興味津々のメンバーで受賞コンサートに臨みました。ジュリ・アレン(p),バスター・ウィリアムス(b),そしてビリー・ハート(d)であります。これがメラーが良く付き合っているメンツなのか、受賞記念で豪華にしたのかは、メラー初買いの僕には不明であります。

20050222

 受賞記念コンサートは、二つの会場で行ったようだ。4月24日にヴァイレ、27日にコペンハーゲンという具合だ。ヴァイレでのステージから2曲、コペンハーゲン演奏分からは3曲収録されているが、白眉は3曲目と4曲目だ。

 ヴァイレ分からの『bacharach』は、ラース作の切ないバラッド。ラースのテナーがメロディを吹き始めるのだが、力を入れていないようで入れている彼のサックスは、妖艶さがある。ベース・ソロを経てピアノ・ソロになるのだが、アレンのピアノには切ない美しさがある。最後はラースのサックスで締めくくるが、美しさと妖艶さの共演はお見事。

 続く4曲目は、コペンハーゲンからの『Lalia's House』。幼い魔女が唱える呪文のようなメロディに聴き覚えがあると思ったが、最近取上げたジュリ・アレンの、『LWB's House』と同曲だ。アレン作なのだから、どのように曲名を付けようと問題何のであろう。ラースのサックスをたっぷりと楽しんで後にくる、アレンのピアノ・ソロ。ベースとドラムとの会話をアレンは行いながら、ラースのサックスに渡していく。こんな演奏展開なのだが、不思議さ漂うゆったりとした空間の15分間が、実に心地よいこと。気合が入ってなさそうで気合十分なラースのサックスと、アレンのピアノの美しさ。そして時折り小技を決めるドラム。

 いろんな魅力満点の1枚です。