フランスだけではなく欧州ジャズ界の巨匠ジョルジュ・アルヴァニタス(p)に関してはこのコーナーで、1950年代に吹き込んだオーソドックスなピアノ・トリオ作品2枚「3 a.m.」と「cocktail for three」を取り上げています。また、1990年吹込みのマレイとのデュオ作「tea for two」もありました。
今回取り上げるのは、1980年代のアルヴァニタスで、CARREREレーベルのものです。Jacky Samson(b)とCharles Saudrais(d)とのトリオでの録音です。LPでは2枚組で発売されていたのですが、CDでは1枚。数曲はカットされているかも知れませんね。
日本料理屋さんと食材屋さんはペナンにあるのですが、日本の一粒一粒光り輝くご飯にはありつけないのが、辛いところです。それと、お刺身。首都のKLに行けばそれなりのものが日本から輸入されているのでしょうが、日本人の数が知れているペナンでは、酒が進むような良い物になかなか巡り会えないです。
さて、57歳のアルヴァニタス演奏。音の粒が一音一音輝いて、「ご飯」のようです。また実にメロディアウスで、まるで舌の上で美味しく舞う「刺身」のようです。全16曲中6曲がソロ演奏なのですが、輝く演奏に舌鼓を打ちますよ。どれかと言われれば、1分35秒と短いながら心に食い込むパーカー作のタイトル曲。またトリオでの演奏は、確認出来る限りでは1969年から一緒に演奏しているだけあって、息がピッタリです。ベースとソロの音色が僕の好みとは違うのが残念なのですが、そんなにソロでの出番がないので、さほど気にはならないです。どれが良いかと聞かれると、全てあげそうなのです。どれも有名曲ですよ。
このレーベルに残したアルヴァニタスの演奏では、1986年吹込みの「round about midnight」が有名らしく、どうやらCDで復刻されているらしいです。ベースは違う方の演奏なのですが、今回の作品に惚れ込んだ僕としては一刻も早く手に入れたいのです。食べ物以外にも、日本が羨ましくなりますね。