この取り合せには、誰しもが驚いたでしょうね。ジョルジュ・ア ルヴァニタス、フランスというよりヨーロッパ・ジャズ界の重鎮ピアニストとのデュオ 作品なのです。今でこそ僕はアルヴァニタスのことを多少なりとも語れますが、これはここ数年ピアノに、そしてヨーロッパ・ジャズに興味が出てきたからではのこと。この作品が発売された1991年は今のように欧州ジャズが語られることは少なく、僕はこの作品で初めてアルヴァニタスの存在を意識しました。バルセロナのジャズ・フェスで 二人は共演したらしく、ジャケにその写真が使われています。
1978年から7年間、アルヴァニタスのリーダー作品は発表されていませんでした。何が理由かは分かりませんが、1986年以降はコンスタントに録音を行なっており、この録音の時点の彼は絶好調だったのでしょう。ここでも確かな技術に裏打ちされたセンスが光る演奏を繰り広げ、風格すら漂ってきたマレイのテナーと熱演を繰り広げています。しかし8曲中1曲を除きスタンダードなのですが、ミディアム・テンポ或いはスローな演奏です。しかもデュオ編成で、10分前後の演奏が殆どです。70分近くの演奏時間なので、聴いていて間延びしてしまいます。この二人の組合せという意味ではJordi Sunol というプロデューサーの考えは見事なのですが、曲構成の面でもう少しというか、もっとしっかり考えて欲しかったです。