1999年11月15日掲載
David Murray      Special Quartet
DIW原盤       1990年3月録音

 ベー スはお馴染みのホプキンスですが、マッコイ・タイナー(p)とエルヴィン・ジョーンズ(d)の参加を考えると、誰しもがコルトレーンをマレイに重ねることでしょう。演奏曲もコルトレーンの“cousin mary”や、コルトレーンのエリントンとの名演で知られる“in a sentimental mood”も披露されていましからね。DIWでの録音なのですが、プロデューサーはボブ・シールです。ということは、まだマレイとシールの関係が続いていたのですね。 1987年にインパルスに録音されたコルトレーンへのトリビュート作品にマレイは3曲だけ 参加していたのですが、それはシールのプロデュースによるものでした。これはマレイのリーダー作なので、過剰なプロデュースだけは避けて欲しいと誰しも考えたことでしょう。 なお、この作品からマレイはDIWと再び契約したようです。

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 1960年代のインパルスにおけるコルトレーン黄金クァルテットでの、マッコイのピアノに惚れ込んでいる人は多いはず。しかしながら、マッコイの他の作品では、あのような演奏は聴けません。他の作品が悪いということでは一切なく、やはりコルトレーンに触発されてのピアノであった訳でして、他の演奏にそれを求めるのは土台無理な話なのですね。ここでのマッコイ、マレイの古いアヴァンギャルドな曲で何度も披露されている“hope scope”と“3D family”で、マレイの演奏を土台にし興味深いプレーを繰り広げています。コルトレーンでのそれとは全く違う、アグレッシブなものです。ここ数年でそれまで表に出していた激しさを内に残し、落ち着きのある面を出してきているマレイのサックスとマッコイのピアノの激突が、楽しめます。