ジョルジュ・アルヴァニタスは、非常に名高いフランスのピアニストです。しかし ヨーロッパ・ジャズを聴かない人には、マイナーな存在かもしれませんね。僕の場合は彼の名前に、そして演奏に初めて触れたのは、1991年に発売されたデヴィッド・マレイと彼とのデュオ作でのことです。勿論、マレイで買ったのですがね。今までに30枚弱のリーダー作品を発表してきたアルヴァニタスの初リーダー作品で、ピアノ・トリオです。共演者は楽度でパリを訪れていたダグ・ワトキンスとアート・テイラーですよ。
ダグ・ワトキンスのベースは、骨太でいつ聴いても聴き惚れてしまいますね。特にこのような小編成だと、その魅力は一層引き立ちます。ワトキンスの演奏はトランジション盤が気に入っているのですが、ここでもそのベースの良さを充分堪能出来ます。そんなご機嫌なベースに乗って演奏されているアルヴァニタスのピアノですが、ガーランドとソニ・クラを合わせたような感じで す。この時代はまだ一般に言われているヨーロッパのハイ・センスな独特な雰囲気は、アルヴァニタスに限らず、まだ成熟していなかったのでしょうね。たたそのセンスの高さを感じ取れるのは、ゆったりと演奏される“softly as in the morning sunrise”と“what's new”です。始めはベースがテーマ・メロディを奏でた後にアル ヴァニタスのピアノが登場するのですが、張り詰めた緊張感が漂ってます。この時代のヨーロッパ・ジャズの姿を感じ取れますよ。