本作品をロリンズのインパルス!第1作とする方がいらっしゃいますが、それは間違いです。これは1970年代後半に発売されたもので、インパルス!にあるロリンズ4作品の中で最後に発売されたものです。しかし「本作品がインパルス!のロリンズ最初の録音」とのことなら、正解となるのでしょう。
本作品は、1965年6月17日にニューヨークにある近代美術館でのライブを収めたものです。ロリンズのインパルス!第1作「Sonny Rollins on impulse!」は7月の録音ですので、「インパルス!での最初の録音」はある意味で正しいものと言えます。
トミー・フラナガン、ボブ・クランショウ、ビリー・ヒギンズ、ミッキー・ローカーとの演奏です。
勢い抜群のグルーブ感と切れ味の鋭さ、そして親しみとゾクゾク感が同居しているサックスの音質、私が抱いているロリンズの魅力が詰まった作品です。1曲目の「On Green Dolphin Street」から、そんな魅力が全開となっています。
さて私が持っている国内版CDにある解説から、本作に関する情報を2点ばかり紹介します。
まずは録音の経緯ですが、この時の近代美術館で毎週木曜の夜に「ジャズ・イン・ザ・ガーデン」と称してライブが行われており、それはラジオ放送されていました。出演が決まったロリンズは、いい加減な音で放送されっるのは嫌で、専属契約したばかりのインパルス!のプロデューサーのボブ・シールに相談しました。その流れから、この日の録音エンジニアがルディ・ヴァン・ゲルダーになったとのことです。
次にドラム奏者ですが、ビリー・ヒギンズとミッキー・ローカーの二人がクレジットされています。まずこの時のロリンズ・バンドのドラマーはミッキー・ローカーでした。ロリンズの前に演奏したリー・モーガンのバンドのドラム奏者ビリー・ヒギンズが、ロリンズが演奏を始めた際に飛び入りで演奏したそうです。そのため、ところどころでドラム奏者二人が演奏していたとのことです。