人気トランペット奏者のアート・ファーマーの経歴を眺めますと、何度かの転機があります。その一つが1968年の渡欧でしょう。クラーク - ボラン・ビッグバンドでの活動を主にし、多くのミュージシャンと共演し刺激を受けていました。そんな時の彼が1971年に仕事でアメリカに "里帰り" した際に録音されたのが、本作品です。
ジミー・ヒース(ts, ss, fl)との2管、そしてシダー・ウォルトンのトリオをバックに、パーカションも加えての録音です。
"高速サンバ" の「カスカヴェロ」は爽快だし、ドーハム作の人気曲「ブルー・ボッサ」での感情表現など、素敵な演奏が並んでいます。
その中で私は1曲目のファーマー作のタイトル曲に惚れました。ヒースのソプラノ・サックスにファーマーのフリューゲルホーンが明るく刺激的に吹きまくっており、シダー・ウォルトンの好演も加わり、実に楽しめる演奏になっています。
私が持っている国内版CDの帯に「70’s ファーマー名盤」とあるのも、頷けるものです。