このダニエル・ザミールの作品、デジパックとブックレットはヘブライ語と思われる言葉で書かれており、私には何も情報を得られませんでした。そこでネットから入手した情報を紹介します。
まずはディスクユニオンの本作紹介ページから。
ここに2006年作品とあるので、この「今日の1枚」でも2006年録音としました。この作品が発売された時には、海外から直接入手した一部のファンの間で話題になったとのことです。ディスクユニオンでの販売となったのは2009年に入ってからのようで、この手のCDの中では大ヒットとなったようです。
続いてHMVのページから。
この作品への参加メンバーが書かれています。Omri Mor(p), Omer Avital(b), Daniel Fridman(d)とのカルテットでの演奏ですが、1曲だけAvishai Cohen(tp)が参加しています。
アーメン、意味は「本当に」「まことにそうです」「然り」「そうありますように」だと、ウィキペディアにあります。ユダヤ教の方々には真の意味はもっと深いものなのでしょう。
私はまだ10代だった頃の1979年8月26日に、日本武道館で「プロレス夢のオールスター戦」をみました。メインの試合は「ジャイアント馬場・アントニオ猪木 vs アブドーラ・ザ・ブッチャー・タイガー・ジェット・シン」でした。日本人対外国人という構図がまだ残っていたこの時期、本当に「夢の」「オールスター」でした。これから40年が経ちますが、私は「オールスター」と聞くと、あの夜を思い出します。
去年のGW明けからSNSでの紹介を受けて本格的にイスラエル出身ジャズマン達に触れ始めた私は、ザミールとトランペットのアヴィシャイ・コーエン、ベースにはアヴィシャイ・コーエンかオマー・アヴィタルの組み合わせで演奏させればと、思っていました。これこそ、「イスラエル」ということを省いても、現代ジャズ界の「夢のオールスター」と言えると思ったからです。
SNSでのイスラエル出身ジャズマンに作品紹介も50枚を超え、7月頭に最後の紹介となったのが本盤でした。そしてその中に1曲、正に「夢のオールスター」があったのです。通販ページで中古盤を探して数ヶ月経ち、ようやく購入できました。
その曲はアルファベット表記では「Shesh Shminiot」となり、Google翻訳によると「残りの委託」との意味です。ここでの演奏は、アヴィシャイの尖ったトランペット、オムリの豊かに繰り出すフレーズの数々、そして強力に揺れるオマーのベース、これらをザミールは見事に引き立て、更には自身の存在感をぶつけていく演奏となっています。
さて他の曲では、まさにザミール・ワールドとなっています。ユダヤの過酷な歴史からの音楽の世界をストレートに、ジャズを中心とした魅力を加えて、循環呼吸連発の速さの中で、ザミール節連発の演奏です。多くの方がこの作品に触れてザミールのファンになっていったことでしょう。
さて最後の曲はアルファベット表記だと「Hasar Hamemuna」となります。ここでザミールはミディアムからアップテンポを使い分けて、演奏しています。9分ほどで終わるのですが、50秒の空白の後に、12分の祈りが続きます。これについては何も言葉がありません。