トランペット奏者アヴィシャイ・コーエンの、この2006年作品には、Lionel Loueke(g, vo), Jason Lindner(keyboard, Fender Rhodes), Omer Avital(b), Daniel Freeman(d), Yosvany Terry(chekere)が参加しています。
注目はタイトルにもあるリオーネル・ルエケの参加でしょう。「現代を代表するギタリスト」との呼び声もあるらしい彼について、Wikipediaから少し紹介します。
1973年にアフリカのベナンに生まれ、9歳から打楽器を演奏し始め、17歳から兄の影響でギターを弾き始めました。その後に彼は、コートジボワールの国立芸術研究所、バークリーなどで学びました。そしてある偶然でクラブのマネージャーから仕事を受け、またジャズを学び始めたました。そしてハービー・ハンコックやテレンス・ブランチャードなどとも演奏するようになり、2008年にはブルー・ノートからリーダー作を出し、メジャー・デビューするまでになりました。
2000年代に入ってから大きく注目を浴びるようになったトランペット奏者とギター奏者の共演作、これを今日は聴いてみます。
特にアコースティック・ギターでのリオーネル・ルエケの魅力は、まずはその響きです。弦の響きに聴き入ります。貧しく、ギターを買うのも、弦を買うのも苦労していた時代に、身につけたことなのでしょう。
「ワールド・ミュージック・ミーツ・コンテンポラリー・ジャズといった路線」と、ディスクユニオンのページにありました。ギターと歌でアフリカのベナンの音楽を軸とした世界に、アヴィシャイのトランペットが対峙していく内容であり、独特の流れを作っています。生音と電気処理で巧みな表現を行なっているトランペット、そしてジェイソン・リンドナーのローズも効果的であります。
このアルバムに独特の世界、喧騒と静寂が混じり合う街の一角を描いていると私は感じたのですが、アヴィシャイのこの姿は、この後の活動に続いていくことになります。