オムリ・モーアとカタカナ表記される、このイスラエル出身ピアニストについてはWikipediaにページがありませんでした。ディスク・ユニオンのページによれば、オムリの名前が登場したのは2000年代中頃の「The Omar Avital Marlon Browden Project」、トランペットのアヴィシャイ・コーエンのバンドに参加し、また2017年にはベースのアヴィシャイ・コーエンのバンドの一員として来日したようです。
イスラエルジャズ界の重鎮たちから評価されているオムリの、初リーダー作を今日は取り上げます。Avishai Cohen(b), Karim Ziad(d)との演奏、そして Michel Alibo(e-b), Donald Kontomanou(d), Maalem Abdelkebir Merchane(vo)との演奏、二つのセッションから構成されている作品です。全9曲、「You And The Night and The Music」を除き、オムリ作の曲が並んでいます。
ライナーノーツにオムリが文章を寄せていますが、その冒頭で彼は「アルジェリアとモロッコ、この北アフリカの素晴らしい音楽との私の長い関わりの成果が、この作品だ」と述べています。
イスラム教徒がほぼ全てを占めるアルジェリアとモロッコでユダヤ人、ここに私には難しい点がありますが、オムリはこの北アフリカでメロディをリズムにどのようにぶつけるかを探求した、そんな風にこの作品を通して感じました。
アヴィシャイ・コーエンとのデュオでの「Tears」、そこにドラムを入れての「Sica」、この二曲の流れは実に素晴らしい時の流れでした。
タイトルの意気込みが理解できる本作品を聴けば「是非、次も」となるのですが、オムリのサイトで確認したところ、第二作は発表されていないようです。