ここ数年で人気を博した漫才師は、第七世代というらしいです。漫才に世代付するのに驚きながら、では第一世代はエンタツ・アチャコやミスハワイの時代か思いましたが、ウィキペディアによれば1960年代の漫才師を指すそうです。私が好きな獅子てんや・瀬戸わんや師匠がこの世代の真ん中で、青空球児・好児師匠の活躍がその最後のあたりとなるのでしょう。第二世代は「漫才ブーム」であり、私はしっかりと記憶しているものです。私が洋楽をラジオで聴き始める直前が第一世代、ロック少年からジャズ青年になっていった時期が第二世代となります。
イスラエル出身ジャズマンに、第一から三世代との分けがあるそうです。私がみたサイトでは、第一世代の代表格は、1971年生まれで1990年代半ばからNYで活動し始めたオマー・アヴィタルとありました。第二世代は1978年生まれで2000年代からプロ活動のトランペットのアヴィシャイ・コーエン、そして第三世代が1987年生まれで2000年代後半からプロ活動のシャイ・マエストロが、その代表格のようです。
先の漫才師の第一と第二の世代ならば、その漫才の特徴を熱弁できる気がする私ですが、イスラエル出身ジャズマンの世代分けを説明したページには、その世代ごとの特徴が書かれていませんでした。
今日取り上げるのは第三世代の代表格のピアニストであるシャイ・マエストロのトリオ作品です。2000年代の終わりからベースのアヴィシャイ・コーエンのバンドで活動し、2010年からは自分のトリオを率いて活動を始めた彼の、二枚目のリーダー作品です。
Jorge Roeder(b) と Ziv Ravitz(d) との演奏です。
NY州中部にIthaca(イサカ)という都市がありますが、このアルバムのタイトルとは関係ないでしょう。他にネット検索でIthacaでヒットするのは、ギリシャにあるイタキ島です。シャイはイスラエル生まれですが、ギリシャに住んでいた先祖がいるのかもしれません。この作品を聴いていると、他のイスラエル出身ジャズマンには感じられなかった、しかしイスラエルのような色わいを感じました。
このアルバム全体を通して言えることですが、端厳な美から始まり、徐々にシャイのアレンジとリズムの妙で生身の迫力を感じさせる演奏になっています。ここが彼の個性であり、その魅力なのでしょう。
さて本作の最後に、女性歌手Neli Andreevaが参加している「Malka Moma」という曲があり、日本の民謡にもあるような雰囲気を醸し出しています。曲名は「若い娘」との意味のブルガリア語、シャイの先祖のことをあれこれ勝手に想像しながら、第三世代シャイの作品を堪能しました。