Wikipediaによれば、ベース奏者オマー・アヴィタルの本作品は、発売としては第五作目になるようです。しかし録音は1997年の初頭のことですので、前回取り上げた1996年録音作品同様に、人気が出てきたオマー・アヴィタルのライブ音源を10年後に発売した、とのものでしょう。
1996年のライブとメンバーはほぼ同様で、ドラムだけが Joe Strasser に変わっています。演奏曲ですが、1996年盤でも演奏されたオマー作の「Kentucky Girl」、スタンダードの「It's Alright With Me」、そしてコルトレーン作の「26-2」の三曲で60分超えとなっています。「伸びしろ」と名付けられた本作品を、今日は聴いてみます。
「Kentucky Girl」は1996年ライブ盤と比べると10分長い25分の演奏ですが、そこにオマーはいくつもの構想を織り込んでいるようです。そしてここでの演奏はその構想が実るまでの過程のドラマが描かれており、この意味では「It's Alright With Me」と「26-2」も同様と言えるのでしょう。
ベース奏者としての揺るぎない実力、そしてバンドリーダーとしての「伸びしろ」に期待を抱かせる、愛着が湧く作品です。