「今日の1枚」では既に2470枚以上の作品を取り上げており、レーベル数だと210となります。しかし今日取り上げるエリ・デジブリの2012年録音作品を発表したPlus Loin Musicからの作品を「今日の1枚」で取り上げるのは、初めてとなります。Wikipediaにこのレーベルのページがありますので、そこから引用して紹介します。
フランスのこのジャズ専門レーベルは、Nocturneの共同設立者であったYann Martinにより、2007年に設立されました。若いアーティストを支えていき、またNocturneの版権を買い取るなどを行なってきたレーベルですが、AbeilleMusiqueと2012年に合併し、Plus Loin Musicというレーベルは2013年に姿を消したとのことです。
エリ・デジブリのこの作品の発売は2013年ですので、もしかしたらPlus Loin Musicとしての最後の作品かもしれません。Gadi Lehavi(p), Barak Mori(b), そして Ofri Nehemya(d)との、カルテットでの演奏で、曲によりヴォーカルが入っている作品です。
1996年にアメリカに渡ったエリ・デジブリですが、異国での活動の中で、自分の気持ちが老け込んでいくのを感じていたそうです。そんな渡米から17年後に彼は故郷に戻り、初めて録音したのが、本作のアルバム名にもなっている「Twelve」でした。(以上、ライナーノーツより)
この「Twelve」は気持ちが和んでいく演奏であり、この時のエリの気持ちがストレートに出たものなのでしょう。
本作では一曲を除いてエリ作の曲が並んでおり、人間の素直な心情を描いた曲が並んでおり、またエリの演奏と同時にそのアレンジも光っており、時には激しく時には微かにドラマを織り込んでいます。
そんな中にある「Autumn In New York」、故郷に戻ってアメリカ生活を振り返り、その土地の良さが分かってきたようなエリの姿が感じられる、穏やかな演奏になっております。
若手中心のバック陣も好演、聴きごたえある作品に仕上がっています。