2020年10月5日掲載
Sun Ra             St. Louis Blues
IAI原盤              1977年7月録音

 私はサン・ラという名前にロック少年の頃から接してきましたが、その演奏は聴いてきませんでした。接してみたいが接してはいけない、理由もないそんな思いが強かったのでしょう。この「今日の1枚」で取り上げた彼の作品は僅か一枚で、それも彼の晩年の作品です。多作で有名なサン・ラですので、私には聴くべき彼のアーケストラ作品が山のようにあるのです。

 サン・ラのソロ・ピアノ作品を購入しました。今年の春過ぎにSNSでこの作品を知り、そのジャケをみて、これは自分が聴くべき作品との嗅覚が働いたのです。レコードやCDを長年に渡り買い続けてきた人ならば、自分の嗅覚だけを頼りに購入した作品が多数あることでしょう。

 さて本作を買うと決意し、Amazonで調べたのですが、中古CDがえらい高値(6000円ほど)で並んでいました。しかし検索をアルファベットからカタカナに変えたところ、国内中古CDが2000円弱であり、購入に至りました。

 国内盤に日本語での解説があるのですが、私の理解を超える部分が多く、サン・ラの解説はこうあるべきなのかと皮肉を言いたくなったのですが、その中から私の脳に入ってきた情報をいくつか書いておきます。

 サン・ラは1914年5月22日生まれとの説があるが、彼は地球外の惑星で生まれ名前も生年月日も不詳というのが「真実」。(この国内CDは2004年5月22日に生誕90周年として発売されている)

 最近入手したサン・ラのディスコグラフィーでは、ナンバリングが788で終わっている。(これは788枚のアルバムで演奏しているとのことか、788回のセッションありなのかは不明)

 サン・ラのアーケストラ以外の作品は少なく、ソロ作品はサターン・レーベルに二枚、このIAIレーベルに本作を含め二枚ある。

 これは1977年7月3日のライブであり、アーケストラの演奏の中から敢えてピアノだけでの演奏を集めたのが本作品である。


 「生誕90周年宇宙浮遊券、土星⇄地球」なる切符がおまけで付いている本作品を、今日は聴いてみます。

20201005

 LPでいうところのA面でのタイトル曲とスタンダードの「Three Little Words」と続く展開が、先ずは聴き所の一つでしょう。「St. Louis Blues」の激烈な壊しっぷり、気持ちの高ぶりでの「Three Little Words」と、ブルース感覚をベースにした演奏は、酔えるものでした。

 B面にはサン・ラのオリジナルが並んでおり、私のいつもの感覚頼りで言うならば瞑想と浮遊感の中で宇宙の旅の厄難も感じ、彼の宇宙を感じられます。

 いつかはサン・ラのアーケストラ作品で「今日の1枚」が埋まっていくことを予感しながら、ピアノ一本作品を聴き終えました。