コルトレーンのアトランティック第二弾の本作品は、1961年2月に規格番号1354として発売されました。前作の「ジャイアント・ステップス」から、一年以上経ってからの発売です。1959年末の二つのセッションから7曲、1960年10月のセッションから1曲が収録されています。
何故にアトランティックはドル箱コルトレーンの第二弾を、一年以上の間隔を開けて発売したのでしょうか。確かに1曲だけは録音から4ヶ月後の発売なのですが、別に他にも録音済みの曲があったわけであり、その1曲の「Village Blues」はどうしても本作に必要な曲だとは言えないものです。逆に全8曲の中に、1曲だけが違うメンバーとなり、アルバムのバランスを悪くしているように感じます。
第一作から一年以上経過してからの第二作の発売の理由を想像すれば、大好評の「ジャイアント・ステップス」の売れ行きの勢いが落ちてから、第二作目の発売となったのでしょうか。この仮説を裏付けたく発売直後の「ジャイアント・ステップス」の販売状況を調べたのですが、そんなデーターにはたどり着けませんでした。
Wynton Kelly(p), Paul Chambers(b), Jimmy Cobb(d)の演奏が主体の本作品を、聴いてみます。
それぞれの曲については「今日のコルトレーン」をお読みいただくとして、収録されている八曲は良い内容なのです。ただし、コルトレーンのアルバムの顔になる演奏がない、これが残念なところです。B面の真ん中の「Like Sonny」と「I'll Wait And Pray」の二つを、A面の最初の二曲に、或いはA面とB面の最初の曲に持ってくれば印象が変わる作品になるのですが、しかし「コルトレーンのアルバムの顔」としてはとの感があります。ただし、それぞれ一曲づつとりあげれば、人間コルトレーンの姿を感じる演奏を楽しめるものです。
このアルバムは、あまり語られることがないものです。アトランティックでの前作の「ジャイアント・ステップス」と、この後に発売される「マイ・フェイヴァリット・シングス」との間に、埋もれたような見方が一般的でしょう。しかしながら、この時期のコルトレーンがメロディを大切にした作品として楽しめる作品です。