自信があり、「俺はジャズを追求していくぞ」との決意を感じる、ジャケットのコルトレーン です。スタジオの裏庭でエズモンド・エドワーズがジャケット用の撮影をしましたが、私が確認できた29コマは適当に撮ったようなものです。その中から1コマを選び、絶妙のトリミングをして色付けし見事なジャケにしたのでした。本作のデザインもエドワーズのようですが、撮影の時からこのジャケをイメージできたいたのでしょう、さすがはプロです。
ジャケ右上に小さなフォントで、「John Coltrane... a major voice in the Miles Davis Quintett... the NEW tenor saxophone STAR」との一文があります。「ジョン・コルトレーン、マイルス・クインテットの素晴らしき才能、テナー・サックスの新星」との謳い文句です。とにかく自前でスターを育てる必要があるプレスティッジ、言い換えれば稼ぎ頭を育てなければならないプレスティッジの意気込みが、この一文から感じます。
セッションの詳細は「コルトレーン特集」をご覧ください。コルトレーンの初リーダー作品です。
その1。
「コートにスミレを」の存在感、コルトレーンのバラッド演奏の美しさは、この作品の大いなる魅力です。ワン・ホーンでの演奏も、その魅力を押し上げています。それと同時、あるいはそれ以上に鍵となっているのは、この曲の前に演奏された「バカイ」の存在感でしょう。魂の塊の力強さを感じる内容です。
この2曲が続くA面ですが、ジャズ喫茶全盛時代においては、A面主義のジャズ喫茶では、本盤が大人気になっていきました
その2。
ガーランドとマルの魅力の違いを楽しめる内容です。「バカイ」でのテーマの後のガーランドの演奏、「クロニック・ブルース」でのマルの演奏、人気ピアニストの存在を楽しめます。
その3。
A面の存在感と共に、B面も同様の魅力が詰まっています。重量級の「ストレート・ストリート」、聴き入るバラッドのスタンダード「ホワイル・マイ・レディ・スリープス」と、A面に負けないB面となっています。「ホワイル・マイ・レディ・スリープス」ではトランペットの参加は最後にチラッと聴ける程度なので、実質ワン・ホーンでの演奏であり、「コートにスミレを」との聴き比べも楽しめます。
またガーランド参加のA面、マル参加のB面としたことも、本盤の魅力を高めた一因でしょう。
各曲の演奏については「コルトレーン特集」に譲ります。本作ではそれまでプレスティッジだけで11回のセッションを行ってきたコルトレーンが、そこから得た経験を注ぎ込んだ作品と言えます。それはバリトン・サックスを上手く使っての効果の付け方であったり、ピアニストの違いによる演奏の変化であったりと、多岐にわたるものです。
プレスティッジ時代のコルトレーンの代表作です。