ダウンビートでは2つ星と酷評されたらしい作品ですが、少なくとも日本では人気絶大の作品です。それは参加メンバーからしても、トミフラ、コルトレーン 、シュリーマン、バレル、ワトキンス、そしてルイ・ヘイズですから当然でしょう。
昔からオリジナル盤市場でも高値を維持している作品です。白だ黄色だと、収集家は完オリは何かと躍起になっていました。
内容はプレスティッジお得意のオールスターズものですが、トミフラが事実上のリーダーです。彼作の曲が4曲、そしてピアノ・トリオでスタンダードの「How Long Has This Been Going On」を演奏しています。
1957年4月18日に燃え上がったこの演奏を、今日は堪能します。
この作品がジャズ喫茶の人気盤だった理由の一つは、よく構成されたA面の出来の良さなのでしょう。夕暮れの寂しさとの格闘の「Minor Mishap」、ベッドに入る前の複雑な一思いの「How Long Has This Been Going On」、そして朝日とマルガリータの「Eclypso」、この展開はジャズファンを大いに唸らせたものであり、A面主義のジャズ喫茶にピッタリだったと思います。
実質リーダーのトミフラの好調さは、美しさと葛藤を表現した「How Long Has This Been Going On」の演奏に代表されるように素晴らしく、またシュリーマンもコルトレーンもキレとスピードがある演奏です。その中で今回聴いて感心したのは、バレルのリズムを巧みにキープしブルージーな表現を加えるギターでした。
もう遠い昔のことのジャズ聴き始めの時に、本作とジミー・スミスの発掘盤を交互に聴いていた数日がありました。発売されたばかりのバレル入りスミスとこのザ・キャッツでのバレルで、すぐにバレルファンになったのでした。そんなことを思い出し、本作を聴き終えました。