毎年ではありませんが、横濱ジャズプロムナードでは一つの会場で外国人ミュージシャンだけのプログラムを設けています。2015年は赤レンガ倉庫に、5組の外国人ミュージシャンの演奏がありました。私は積極的理由では無かったのですが、ダニエル・ザミールの演奏を聴きに行きました。老若男女で満員の会場でしたが、1曲目からダニエルの演奏に圧倒されていました。ベースとドラムを従えて、アルトとソプラノを演奏し、時には歌ってもいたダニエルさん。中近東の香り、そして日本人にも染み入る曲、そして熱気で高速運転するダニエルさん。観客をノックアウトしたとは、まさにこのステージのことを言うのだなと感じておりました。
私はイスラエル・ジャズに初めて接したこの後に関内ホールに向けて10分少々歩いて移動したのですが、その間の信号待ち2回の少しの間にスマホで今日取り上げるダニエルさんの作品を注文しました。
ベースとドラムとのトリオに、サックス3本を加えて、さらにレーベル・オーナーであるジョン・ゾーンもゲスト参加している本作を、今日は聴いて見ます。
イスラエルを含めて中近東の町並みや生活の様子は、映画やTVドキュメンタリーで目にすることがあります。それらは欧米や東南アジアに比べれば数少ないものなのですが、逆にそれらが強く印象に残っています。本作を聴くと、そんな光景が目の前に現れてくる感じがしました。
私は仕事の縁で、香港とマレーシアのペナン島に、合わせて13年住んでおりました。異国の街の雰囲気が、そこの住民になって月日が経つと、自分の体に染み込んだ街の雰囲気になってきます。それを感じた瞬間には、何やら嬉しくなりニヤッとしてました。本作を聴いていると、イスラエルを含めて中近東には行ったことがない、ましてや生活したことの無い私ですが、その街並が体に染み込んできたような錯覚になりました。
そんな思いになるダニエルの演奏は、実に素晴らしいものだと言えます。私には本作での10曲が、ダニエルが言いたいことを言い切ったところで突然終わるように感じましたが、難点を探すならばそんな程度のところでしょう。
私がジャズCDを再び買い出せる場面になってきたら、ダニエルの作品を買いたいと思います。願いはいろんな光景を再び私に提供してくれること、恐れているのはこの手の演奏は1枚だけでいいやとの思いになることです。間違いなく前者だと思いますが、その時が来るのを楽しみにしています。