2018年10月4日掲載
Isao Suzuki            Blue City
TBM原                    1974年3月4日録音

 4年前の横濱ジャズプロムナードのことですが、当時81歳の鈴木勲さんのステージの次が当時60歳のKANKAWAさんでした。焼酎を飲みながらの演奏で横浜開港記念会館に集まったお客さんを楽しましたKANKAWAさんが、アンコールで鈴木勲さんを呼んで1曲披露しました。「現役ミュージシャンではロイ・ヘインズに次ぐ年齢の鈴木勲」とのKANKAWAさんの発言はさて置き、二人の”若さ溢れる”演奏は実に印象深いものでした。

 鈴木勲さんのTBMから発売された作品を、もう1枚買いました。菅野邦彦(p),渡辺香津美(g),井野信義(b),そして小原哲次郎(d)との演奏です。

20181004

 「(8番街)45丁目」という鈴木勲さん作の曲があります。鈴木勲さんは一時、マンハッタンにあるブレイキーの家でお世話になっていたとこのこと。8番街とはマンハッタンのことなので、この曲はそんな居候時代のことを思い浮かべて描いた曲なのでしょう。芸術の刺激に囲まれて、自分が何かをモノにしたいとの願いを、少し悲しげなメロディに込めたような曲であり、演奏であります。続く曲、LPならば裏返してすぐの曲は「Play Fiddle Play」であります。E.Deutch - A.Altman とクレジットされている曲ですが、曲調と演奏は新宿の繁華街の明け方のような雰囲気です。つい先ほどまで夢に包まれた喧騒の世界だった場所が、行き場のない場所に変身してしまったような状態を、私はこの曲を聴きながら思い描いておりました。

 こんな私のたわ言は大外れなのでしょうが、この2曲、そしてこの作品で聴ける演奏は、間違いなく夢と現実の狭間で揺れ動く世界を描いております。

 「Blow Up」同様にベース2本にしたことによる鈴木さんの演奏の輝き、「Blow Up」同様のTBMレーベルの録音の良さ、これもこの作品で輝いておりました。