ベーシストの鈴木勲さんは、駐留米軍ベースや銀巴里世代の方で、1933年生まれの方です。ジャズ・メッセンジャーズへの参加でも知られているお方です。しかし私には鈴木良雄さんとの区別がつかなく、和ジャズに疎すぎる自分に気づく次第です。
しかしながら和ジャズに疎いからこそ、私は日本人ミュージシャンメインの横濱ジャズプロムナードが楽しめるのでしょう。そんな楽しんだミュージシャンの一人が鈴木勲さんのステージです。横浜開港記念会館で南国風の味わいを加えたバンドの演奏は、鈴木勲さんのごっつく粘りのあるベースに引っ張られて、気づくと私の体は揺れており、周りの観客も同様でありました。その時点で鈴木勲さんは80歳を過ぎており、スカート姿と合わせて強い印象を受けました。
そして購入したのが今日取り上げる作品です。菅野邦彦(p)・水橋孝(b)・ジョージ大塚(d)とのカルテットでの演奏です。
ベース奏者のリーダー作品で、もう1本追加しベース2本で演奏するのはよく見かける形です。追加ベースはバッキングに徹して、主役ベースが時には弓弾きを交えて演奏していく形です。この鈴木勲さんの作品もそのように演奏されており、変幻自在なベース演奏が楽しめます。
特に気に入ったのは、タイトル曲でした。鈴木さんの長年の盟友である菅野と大塚、繊細ながら酔わしてくれるピアノとバンドをしっかりと固めるドラム、そこにスピード感が堪らない水橋のベース。これらに支えられて思う存分暴れまくる鈴木さんのベースを聴くと、何故だかこの時期の東映映画の、雑踏の中で若さのパワーを爆発させたい若者たちの姿を思い出します。そいえばタイトルの意味は爆発とか炸裂との意味です。当時の社会のパワーと虚しさを感じる演奏でした。