2018年9月5日掲載
Doug Carn                Revelation
Black Jazz原盤          1973年録音

 1982年からジャズを聴き始めた私は渋谷のジャズ盤専門店に足繁く通い、店主と常連さん達とお話しすることでもジャズに関する知識を広げていきました。そのお店は、このブラック・ジャズが産声をあげた年に開店したお店です。オリジナル盤も主力の一つですが、店主のこだわりは新譜販売店である事で、それは開店から45年となる今でも続いております。ジャズ聴き始めの私はロフト・ジャズに興味を持ち、1970年代の若き黒人ジャズ奏者の活動の記録を、中古盤で買い求めていました。そんな際に先の店主や常連さんから色々教わったのですが、このブラック・ジャズの話は出てきませんでした。とすると「ブラック・ジャズは日本では話題にならなかった」とのことになるのですが、果たしてどうなのでしょうか。

 BJQD/16として発売された第15弾は、ダグ・カーンのブラック・ジャズ3枚目の作品です。例の小冊子から本作を紹介します。

 ダグ・カーンがブラック・ジャズに吹き込んだ3枚目のアルバム。このアルバムが最後の共演となるジーン・カーンのヴォーカルはもちろん、オル・ダラのトランペット、ルネ・マクリーンのサックスなど豪華なゲストを迎えたこのアルバムはダグ・カーンの最高傑作としてスピリチュアル・ジャズの歴史に残る一枚である。疾走するビートに乗った力強いヴォーカルが無限の高揚感を誘う「Power And Glory」以下、アルバムを通しての統一感と訴求力が金字塔と呼ぶべきこの傑作を創り上げたのだ。透明な美しさをたたえる「Naima」はこの曲のカヴァーの中でも最高のヴァージョンであろう。

 ダグにとってジーン・カーンの最後の共演作品を、今日は聴いてみます。

20180905

 音楽の多様性を真摯に追求して行きながら、音楽を聞く喜びを感じさせる内容に仕上がっており、聴きごたえある内容になっております。そしてそのベースにはジャズ心があり、ロック色強気な課でもジャズ味が絶妙に効いています。この作品はどの時代のミュージシャンにも刺激を与える作品だなと思ったのと同時に、それを作り上げたのはダグと共にジーンの存在であります。

 良い関係の男女と側で思っていても、突然別れしまう例を、誰でも幾つか見てきたことでしょう。

 ダグとジーンの関係は、この作品で終わりになりました。音楽面だけの別れではなく、男女関係も終わったようです。そしてジーンはこの後に、ちょっとしたポップ・スターになって行きます。