2018年7月2日掲載
The Jazz Couriers     The First And Last Words
Tempo原盤                 1957年8月録音

 タビー・ヘイズ(ts,vib)がロニー・スコット(ts)と組み、1957年から1959年にかけて活動したジャズ・クーリエーズは、低迷期イギリス・ジャズ界の中での一つの光でありました。テンポ・レーベルに残した3枚のLPと、Top Spot Tunes から出されたカードボード盤1枚から14曲を収録したのが、本作品です。収録時間は65分なので、半分ほどの演奏をピックアップしたのでしょう。

 「今日の1枚」では1999年6月15日にジャズ・クーリエーズの作品を取り上げていますので、これで2枚目の登場となります。

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 カードボード盤についてネットで調べてみました。ソノシートのようなものが厚紙に貼り付けてあるものです。日本ではこの厚紙盤は無かったようですが、ソノシート自体は子供の頃にお世話になっておりました。この厚紙盤は宣伝用で作られたものが多かったようで、中には厚紙で出来ているお菓子類の箱を切り取ると厚紙盤になるとのものがあったとのことです。

 ではこのジャズ・クーリエーズの厚紙盤は、どんな物だったのかと調べを進めましたが、ネット上には情報がありませんでした。そこで久しぶりに渋谷のジャズ専門店にお聞きしました。この「今日の1枚」ではお馴染みのそのお店は、新譜を中心に40年以上なのですが、オリジナル盤の取り扱いも日本屈指のお店です。しかし、そこの店主はこの厚紙盤を取り扱ったことはなく、またその存在自体も知らないとのことです。

 分からないままで調査は終えたのですが、何故だかこの厚紙盤からの収録曲に興味が集中してしまいました。ヘイズ作の「モンク・ウォズ・ヒア」は、誰もがモンクのオリジナルかと思うような曲です。ヘイズは偉大なジャズマンに敬意を評して、そしてその姿を思い浮かべながらこの曲を作り、演奏したのかと思います。ライナーノーツによれば、ジャズ・クーリエーズのカールトン盤に曲名を「ザ・モンク」とした演奏が残っているとのことです。しかしこの厚紙盤の演奏は、恐らくは2001年にジャスミンが本CDを発売するまで、ごくごく少人数しか聴いたことがなかったと思います。

 ジャズへの愛が滲み出ているこの演奏を聴きながら、生きているうちに一度はこの厚紙盤を見てみたいと思うようになり、この作品を聴き終えました。