2018年6月9日掲載
Mal Waldron            Mal-1
Prestige原盤             1956年11月9日の録音

 プレスティッジ特集を「今日の1枚」で行なっていた時期があり、既に157枚掲載しています。コルトレーンやマイルスは特集を企画しているため掲載していないのですが、その中でマルの扱いを迷っていました。迷いながら企画している特集に全く着手出来ない状態だったので、2006年からマルの作品を掲載し始めました。そんな意味で、この作品が未掲載なのは理由がわかるものです。

 さて本盤はMALシリーズ1作目であり、ジジ・グライスのアルトとアイドリュース・シュリーマンのトランペットの参加が興味をそそるところです。

 ドラムの Arthur Edgehill はマルとの共演はレコーディングでは本作だけですが、ベースの Julian Euell はこの後の3年間に渡りマルと一緒に演奏している方です。

20180609

 「Yesterdays」でのグライスとシュリーマンの静かに綺麗なホーンの重なりに、うっとりと聴き入りました。脚光を浴びる存在ではない二人、しかしながらジャズ好きに静かに愛されている人たち。陽の当たるような舞台はなかったものの、多くのミュージシャンに重用され陽のある演奏を身に付けてきた人たち。こんな二人の演奏は、実に素敵なものです。この二人に続くマルの例のモールス演奏は、いつもより控えめながらホーン二人の演奏の余韻を気持ちよくするものです。

 ホーン陣を盛り立てるマルの力量、それがよく分かる作品に仕上がっています。